開発コンセプト
ロボットとは、センサ、モータなどのアクチュエータおよびコンピュータの融合からなる知的機械である。それゆえ、人工知能、認知・知覚技術および運動制御など、その構成技術は、多岐にわたる。
小型ヒューマノイド:morph3(モルフスリー)は、これらロボットに必要な要素技術開発用に生まれた実験用ロボットで下記の3つを実現した。
- 卓上での実験が可能な小型サイズの実現
- 高度な機動性を実現するロボットボディの実現
- 高度な知覚機能を実現するための大規模センサシステムの導入
つまり、多数の内界・外界センサを搭載し、大きな関節可動範囲を有する小型・軽量なロボットシステム、それがmorph3である。morph3には、高速浮動小数演算が可能な小型メインCPUモジュール、小型画像処理モジュール、モータドライバを装備した小型サブCPUモジュールを搭載した。これらの機器は、体内LANにて接続され、センシングネットワークシステムを構成している。このシステムを実装したmorph3には、合計138個の外界・内界センサが組み込まれている。本システムを利用することで、morph3は、状況に応じた多彩な行動制御が可能である。
ここで、morph3の高度な機動性および知覚機能を実現させるためのキーワード、それは、開発コンセプトでもある「メタルアスリートロボット」である。従来、ロボットボディの設計は機構部とボディデザインが独立して行なわれてきた。特に機構部に外装を付加した機体構成では、カバーが関節可動範囲を狭め、ボディ重量を増加させる。結果としてロボットの機動性、メンテナンス性等の機体性能を著しく低下させることとなる。morph3では、メタルアスリート、すなわち、陸上選手のように、極限まで贅肉をそぎ落とした「極限まで機能性を追求したボディ」の実現を目指した。より具体的には機構部とボディデザインの融合設計手法を採用することで、前述の問題を解決し、機能性(高度な知覚機能と起動性能)とメンテナンス性さらに外観の親和性を合わせ持つシステムの実現に成功した。
morph3は、科学技術振興機構ERATO北野共生システムプロジェクトと工業デザイナーの山中俊治氏が共同開発したロボットです。2003年6月1日よりmorph3の研究開発チームが千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)へ移籍し、継続して研究開発が行われています。