未来ロボット技術研究センター所長 博士(工学) 古田 貴之
「未来ロボット技術研究センター・fuRo」は、ロボットの研究開発が目的ですが、「機能とデザインの一体化」ということも目指しています。これは私たちのコンセプトでもある3つの柱のうちの1つに関わるものです。「fuRo」の近未来的な施設のデザインなども、それを具体的に表現したものになっているのです。
3つの柱というのは、まず未来のロボットの研究開発をするということ、そして産学連携(産業界=企業と大学が共同で研究を進めること)をしながらロボットの新産業を立ち上げること、さらに3つ目がロボットのプロダクトデザインとは何かということ。機能とデザインを一体化して無駄を省くと同時に、デザインを追求することからロボットの性能の向上を目指しています。「morph3」というロボットも、本センターの施設もそんなコンセプトで出来上がったのです。
私は以前、独立行政法人科学技術振興機構(北野共生システムプロジェクト)で、ロボット研究チームのリーダーを務めていました。20社以上の企業と連携してロボットの部品を開発していたのです。しかし、産学連携でロボットの新産業をつくっていくということに、国の機関という立場では限界があると感じていました。すでにプロジェクトも終わりに近づいていたので、今までの研究チームがバラバラになってしまうということもあり、私たちの研究グループ全員で移籍しようと考えたのです。
ロボットの研究は複合的な研究です。エレクトロニクス、機械工学、人工知能、プログラムなど、全部の専門家がいないとロボットの研究チームはできません。ロボットの新産業をつくりたいという気持ちでしたから、どこか1つの企業では出来ない。そこに、千葉工業大学から、私たちの研究チーム全体を受け容れ、なおかつすべての学部・学科ともつながれるような、学校法人直轄の研究組織にしましょうという提案があり、ものすごいスピードでこの「fuRo」の設立に至ったのです。