Chainy(チェイニー): 概要
感覚を生み出す椅子
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)は、東京大学 先端科学技術研究センター堀江 新(ほりえ あらた)特任助教らがJST ERATO 稲見自在化身体プロジェクトにおいて開発した椅子型触覚提示実験装置「*TorsionCrowds(トーションクラウズ)」の基盤技術を用いて、独自の機構で軽量型の展示用装置「Chainy」を開発しました。
Photo: Ryu Furusawa
「Chainy」の原型となった実験機「TorsionCrowds」は、背もたれや座面に複数の回転接触子(モーター)が埋め込まれ、これらが群れのように回転し、皮膚表面に同時かつ広範囲に捻りを加えることで、力の二次元的な分布を提示します。この回転接触子群の回転角度や回転方向を制御すれば、体表面に生じる刺激の強度分布をダイナミックに再現可能な触覚ディスプレイになると有望視されています。一方、今回開発した「Chainy」は、「TorsionCrowds」の基盤となる設計指針をもとに、社会実装に向けた装置として、展示用に実現されました。実験機では2軸のジンバル機構によって支えられていた回転接触子を、「Chainy」では金属の輪で連結して「鎖化する」という発想の転換がなされ、回転接触子群が鎖の面として体重の圧を柔軟に支え、かつその力を面的に分散させることが可能です。軽量化と低コスト化を同時に実現し、既存のオフィスチェアなどに埋め込むこともできます。
Photo: Ryu Furusawa
映像体験や、メタバース体験、遠隔体験への需要がますます高まるなか、今回の展示用装置「Chainy」は、身体拡張体験の一つとして様々な未来の椅子のありようを来場者に投げかけることでしょう。知覚や身体活動の一部に障がいのある方への触覚による身体体験の支援など、想像が広がりそうです。
基盤技術設計:堀江 新(東京大学 先端科学技術研究センター)/ JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト 社会実装設計:千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター (fuRo)
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