機能性を有するボディとそのデザイン

従来のヒューマノイドのボディデザイン手法では、機構設計と外観デザインが独立に行なわれてきた。特にロボットのデザインと機能は、それぞれ外装部と機構部とに分離して設計し、システム構築の最終段階にこれらを合体させるといった設計手法をとってきた。このような設計・デザイン手法では、外装部と構造部を結合させる段階で、付加したカバーによる重量過多および関節可動範囲の減少などの、機構部分の機能・性能破綻が生じる。一方、morph3では、ロボットのデザインと機能の融合、 即ち機能と外観デザインの両者を同時に推し進め、問題を解決した。

タクタイルセンシングシェル

脚部および腕部の白色パーツは、タクタイルセンシングシェルであり、単なる外装ではない。これは、サブCPUの保護と同時に触覚センサの機能を併せ持つ機能性パーツである。その素材は半透明の樹脂であり、LED点灯・点滅によるサブCPUのステータス信号が目視できるようになっている。morph3は、このタクタイルセンシングシェルの機能を利用することでボディと床面等との接触情報をセンシングし、動的全身運動制御を行なうことが可能である。尚、タクタイルセンシングシェルは、各膝部、各大腿部、各肘部、腰部・背面部にそれぞれ1パーツずつ、全身で8個所に実装されている。

スイッチユニット

ロボット胸部正面の円形パーツは、morph3のメインスイッチである。本スイッチは3段階ロータリースイッチとなっており、 時計回りに回転させることで、メインCPU-サブCPU群-駆動モータの順に電源が投入される構造となっている。このようなロータリー構造のスイッチを採用することで、全身運動を行なった際の電源オンオフの誤動作を防ぐことが可能となる。

放熱用モータキャップ

モルフモータモジュール1

左図のロボット脚部内側の円筒突起パーツは、ヒートシンク機能を有するモータキャップである。このキャップを外すことで、容易にモータの交換ができる構造となっている。

新開発「モルフモータモジュール」

各関節のモータモジュールは新規に開発したものであり、バックラッシ(機械的なガタ)が抑えられている。このモータモジュールは回転出力軸を中心とした最小円内にサイズが収まるように、ケース形状がデザインされており、そのデザインは機構設計と同時進行で行なわれた。このモジュールを構造材の一部に使用することで、 ロボット全体の剛性強度を保ちつつ、小型・軽量かつ広範囲な関節可動範囲を有し、なおかつデザインされたボディが実現可能となった。

このモータモジュールは、関節軸オプションパーツを装備することで、2軸構成を簡単に実現することができる。

モルフモータモジュール1 モルフモータモジュール1 モルフモータモジュール1

モルフケーブル

モルフでは、各モータへ大電流が供給でき、なおかつ繰り返し曲げ疲労にも強い独自のケーブル:モルフケーブルが採用されている。従来のロボットの配線は「隠す」ことが通例であった。この美しいモルフケーブルを採用し、このケーブルをあえて「見せる」デザインとすることは、morph3の外観の美しさと広い関節可動範囲を両立させることに一役買っている。

収納可能なハンド

morph3のハンド部は、状況に応じ、つめ部をひじ部に収納可能な構造となっている。手を着く床運動、受身動作などの際には、とっさにつめを格納し、その破損を回避する機能パーツとなっている。